冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
ついていけない時は、ちゃんと待ってくれる。

できないと決めつけたりしない。

ただ、できる前提で、そこに届くまで厳しく求めるだけだ。

私は小さく息を吐いて資料を抱え直した。

「失礼します」

社長室を出ると、秘書課の後輩が顔を上げた。

「朝から修正ですか?」

「うん、ちょっとね」

「また社長ですか。厳しいですよねぇ……由真さん、よくやれますね」

私は苦笑した。

「厳しいけど、理不尽ではないから」

「それでも私だったら泣きます」

「泣いてる時間があったら直した方が早いよ」

そう言いながら自分の席につき、急いでパソコンを開く。

数字の配置を詰め、グラフの色味を減らし、役員の年齢層でも一目で分かる形に整えていく。
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