冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
それから一週間ほどで、三浦さんからの連絡は自然に生活へ入り込んできた。

朝の短いメッセージ。

仕事終わりの電話。

休日の昼に「今日は何してるの?」と届く穏やかな問いかけ。

押しつけがましさはなく、返事を急かすこともない。

ただ少しずつ、私の毎日に寄り添ってくる。

「お疲れ様、由真さん。今日は忙しかった?」

「はい。社長の会食が長引いて、今やっと帰れました」

「頑張りすぎないでね。今日はちゃんとご飯食べた?」

「……コンビニのおにぎりをひとつ」

「それ、ちゃんとじゃない」

叱るでもなく、呆れるでもなく、困ったように笑う声。

その温度が心地いい。

「秘書って、そんなに自分のこと後回しになる仕事なの?」

「なりますね。特に忙しい日は」

「じゃあ、結婚したら俺が夕飯作れるように練習しないと」

「またそれ言う」
< 20 / 108 >

この作品をシェア

pagetop