冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした

3. 出張、そして告げた一言

地方出張の日の朝は、まだ空気が冷たかった。

駅のホームに立ちながら、私は手帳を開いてスケジュールを確認する。

午前中に現地視察。昼は取引先との会食。

午後は再開発予定地の確認と役員へのオンライン報告。夕方には先方との最終打ち合わせ。

その合間に資料の修正と、東京本社から飛んでくる連絡の対応。

見れば見るほど、ため息しか出ない。

「朝倉」

低い声に顔を上げると、一条圭太がすぐ目の前に立っていた。

黒のコートに身を包んだ姿は、朝の雑踏の中でも妙に目立つ。

背が高く、無駄のない動きで、周囲の空気まで引き締めてしまうようだった。

「おはようございます、社長」

「おはよう。顔色が悪いな」

「寝不足なだけです」

「……そうか」

圭太さんはそれ以上追及せず、私の手帳に視線を落とした。
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