冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
「予定は頭に入っているか」

「はい。視察ルートも再確認済みです。先方には予定通り十時に到着する旨を伝えてあります」

「昼の会食場所は?」

「現地の料亭です。個室を押さえてあります」

圭太さんは、ちょっと驚いた顔を見せた。

「オンライン報告の回線確認は」

「ホテルの会議室を借りました。予備回線も準備してあります」

「問題ないな」

「はい」

淡々と確認を終えると、圭太さんは改札へ向かった。

私はキャリーケースを引きながらその後を追う。

仕事だ。余計なことを考えている暇なんてない。

それなのに、胸の奥には別の重みがずっと残っていた。

――正式に婚約してほしいって、連絡が来たわよ。

母の言葉が頭から離れない。
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