冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
三浦恒一郎さん。穏やかで、優しくて、ちゃんと未来を考えてくれる人。

この出張から戻ったら、きちんと返事をしなければいけないのかもしれない。

そう思うたび、なぜか呼吸が浅くなる。

現地に着いてからは、本当に息つく暇もなかった。

「朝倉、次の資料」

「はい、こちらです」

「先方の担当者に、十五分繰り上げると伝えろ」

「え、でもオンライン報告が――」

「削るのは移動中の休憩だ」

「……承知しました」

圭太さんは歩く速度すら落とさない。

視察先のビルを回りながら、気になる点を次々と口にする。

「外構の動線が悪い」

「メモします」

「駐車場の出入口も再検討だ」

「はい」

「商業区画の想定客層も甘い」

「……すぐ本社に確認を取ります」
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