冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
スマホとメモ帳と資料を抱えて対応しているうちに、指先が冷えて感覚が鈍くなっていく。

それでも止まれない。

圭太さんの横で息を切らすなんて、悔しかった。

会食の席でも、私は料理の味なんてほとんど覚えていない。

先方が話す数字を拾い、圭太の視線ひとつで必要な資料を差し出し、会話の流れに合わせて本社へ確認を取る。

圭太さんは相変わらず隙がない。

厳しく、でも正確に相手の話を聞き、必要なことだけを返していく。

その横顔を見ていると、やっぱりこの人はすごいと思う。

尊敬してしまう。

何度でも、好きになってしまう。

だから困るのだ。

夕方の打ち合わせ場所は、ホテル内のラウンジを兼ねた打ち合わせスペースだった。

大きな窓の向こうに、オレンジ色の夕暮れが広がっている。
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