冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
少しだけ拗ねたような言い方になってしまって、しまったと思った。

けれど圭太さんは怒らなかった。

「使えるから使う」

「……そうですよね」

「不満か」

「いいえ」

不満なんて、あるはずがない。

この人の役に立てることが嬉しくて、ここまでやってきたのだから。

でももう、それだけではだめなのだ。

沈黙が落ちる。

ラウンジには控えめな音楽が流れていて、遠くでグラスの触れ合う音がした。

夕暮れの光が少しずつ青へ変わっていく。

今だ、と私は思った。

ここで言わなければ、また言えなくなる。

「社長」

自分でも驚くほど静かな声だった。

「何だ」

圭太さんが顔を上げる。

いつもの冷静な目。何でも見透かすようなまなざし。
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