冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
その目を見た瞬間、喉が詰まりそうになる。

でも、言わなきゃ。

「私、結婚するんです」

その言葉が落ちた瞬間だった。

空気が、変わった。

さっきまで穏やかに流れていた時間が、ぴんと張り詰める。

圭太は何も言わない。

ただ、じっと私を見ていた。

「……社長?」

「相手は?」

低い声だった。

静かなのに、胸の奥を震わせるほど冷たい。

「見合い相手の、三浦恒一郎さんです」

「三浦……」

圭太がその名前を反芻する。

表情は変わらないのに、何かが確実に違っていた。

「いつ決まった」

「まだ正式ではありません。でも、向こうは婚約を望んでくださっていて……」

「おまえは?」

「え?」

「おまえは、その男と結婚したいのかと聞いている」
< 30 / 108 >

この作品をシェア

pagetop