冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
あまりにも迷いがなくて、涙が滲んだ。

「そんなの、ずるいです」

「何が」

「今さら、そんなふうに言うなんて」

「今さらにしたのは俺だ。悪かった」

「謝ってほしいんじゃなくて……」

「じゃあ、何を望む」

その問いに、私は何も言えなかった。

本当はずっと決まっている。

望んでいたのは、目の前の人だけだ。

三年も想って、諦めようとして、それでも忘れられなかった人だけ。

食事を終えたあと、圭太は私をホテルのバーへ連れて行った。

照明を落とした静かな空間で、窓の向こうにはさらに深くなった夜景が広がっている。

磨かれたガラスに街の光が滲み、夢の中みたいだった。

窓際のソファ席に並んで座ると、距離が近すぎて呼吸が浅くなる。

圭太さんのスーツの肩が、少し動くだけで意識してしまう。
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