冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
「……どうしよう」

小さく呟くと、また内線が鳴った。

『朝倉、社長室へ』

今度は思わず苦笑してしまう。

いくらなんでも呼びすぎだ。

でも、受話器を置いたあと、少しだけほっとしている自分がいた。

圭太さんに呼ばれるだけで安心するなんて、もう本当にどうかしている。

社長室へ入ると、圭太さんがソファに座ったまま私を見た。

「またですか」

「まただ」

「仕事は?」

「終わった」

「早すぎません?」

「おまえを呼ぶために片づけた」

「そんな社長、困ります」

「困っていない顔だな」

図星で、私は言葉に詰まった。

圭太さんが手を伸ばす。

私は少しだけためらってから、その手を取った。

「由真」

「はい」

「早く、全部片づけろ」

「三浦さんのこと、ですね」
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