冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
「ああ」

「ちゃんと話します」

「逃げるな」

「逃げません」

「俺からも」

そこまで言って、圭太さんは少しだけ目を細める。

「もう逃がさない」

その言葉に、私は静かに頷いた。

東京に戻ってからの圭太さんは、まるで別人のようだった。

冷徹社長の仮面をきちんとかぶったまま、それでも二人きりになると甘くなる。

視線は熱を帯び、距離は近く、触れる手は迷いがない。

もう誰にも渡さないと、言葉でも態度でも示してくる。

出張先の一夜は、ただの過ちなんかじゃなかった。

あれは始まりだったのだ。

圭太さんの溺愛が、もう隠しきれなくなる始まりだった。
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