冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
「寒くなかった?」

「大丈夫です」

「よかった。じゃあ、予約してあるから行こうか」

「はい」

席に案内され、向かい合って座る。

テーブルには白いクロスがかけられ、窓際から入る光がグラスにやわらかく反射していた。

「この前、忙しそうだったね」

「はい……少し立て込んでいて」

「出張だったんでしょう?」

その一言に、胸がぴくりと痛んだ。

「ええ、地方へ」

「大変だった?」

「まあ、いつも通りです」

「由真さんの“いつも通り”は、きっと大変なんだろうな」

三浦さんはそう言って、メニューを閉じた。

「今日は仕事の話はあまりしないようにしようか」

「え?」

「せっかくの休みだし」

「あ……そうですね」

そう言われると、少しだけ肩の力が抜ける。
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