冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
三浦さんは、無理に踏み込んでこない。

相手の空気を読んで、一歩引いたところから優しく接してくれる。

「何を頼みますか?」

「三浦さんに合わせます」

「それだと俺が緊張するな」

「どうしてですか」

「責任重大だから」

少し冗談めかした言い方に、私はふっと笑った。

「じゃあ、同じものにします」

「それなら安心だ」

注文を終えて、少し会話が途切れる。

でも気まずくはない。沈黙まで穏やかなのが、三浦さんらしいと思う。

「由真さん」

「はい」

「この前、母から聞いたよ。仕事、続けたいんだって?」

「……ええ、そのつもりです」

「うん、いいと思う」

 迷いのない返事だった。

「本当に?」

「もちろん。前にも言ったけど、由真さんは仕事に誇りを持ってる人でしょう」
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