冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
「共働きなら、なおさら助け合わないと」

穏やかで、押しつけがましさのない声音。

なのに、その言葉の中にはちゃんと具体的な未来がある。

「前に話したでしょう。俺、子どもが生まれたらちゃんと関わりたいって」

「はい」

「それ、本気だから」

胸がじんわりと温かくなる。

ああ、こういう人となら。

こういう人となら、きっと穏やかな家庭が築けるのだろう。

昼食が運ばれてきて、しばらくは食事をしながらゆっくり話した。

三浦さんは食べる速度まで私に合わせてくれる。

話題も押しつけない。

趣味のこと、最近読んだ本のこと、休日の過ごし方。

どれも穏やかで、無理がなかった。

食後のコーヒーが運ばれてきた頃、三浦さんがふっと表情をやわらげた。
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