冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
「ねえ、由真さん」

「はい」

「俺たち、夫婦になるんだよね」

あまりにまっすぐで、静かな一言だった。

だからこそ、逃げられなかった。

「……え」

「驚かせたかな」

「いえ、ただ……」

返せない。

言葉が喉でつかえて出てこない。

三浦さんは責めるような顔はしなかった。

「俺は、ちゃんとそのつもりでいる」

ただ、私の返事を待つように穏やかに見ている。

「由真さんとなら、落ち着いた家庭を築けそうだと思ってる」

その言葉の一つひとつは、きっと私が望んでいたものだ。

穏やかな未来。家庭。子ども。安心できる相手。

なのに。

 ――今は圭太でいい。

 ――他の男の元には行かせない。

 ――好きだ。三年、ずっとおまえだけだった。
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