冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
『ええ。待っています』

通話を切ると、すぐに内線が鳴った。

『社長室へ』

いつもの短い呼び出し。

でも今は、その短さが妙に心臓に悪い。

私は深呼吸をして、社長室へ向かった。

「失礼します」

「入れ」

ドアを閉めた瞬間、圭太さんが私を見た。

「来たか」

「……ご存じだったんですか」

「さっき受付から連絡が入った」

私は息を呑む。

「三浦さんが、来ています」

「ああ」

「私、話してきます」

「一人でか」

「それは……」

本当はそのつもりだった。

三浦さんをこれ以上傷つけたくないし、自分でけじめをつけるべきだとも思っている。

けれど圭太さんは静かに首を振った。

「俺も行く」

「圭太さん」

「逃げずに向き合うと言ったのはおまえだけじゃない」

その言葉に、胸が熱くなる。
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