冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
「でも、社長が出ることじゃ」

「出る」

きっぱりとした口調だった。

「おまえを好きだと認めた以上、ここを曖昧にしたくない。それに」

圭太さんはソファから立ち上がり、私の目の前まで来る。

「おまえを迎えに来た男を、何も言わずに帰す気もない」

低く、静かな声。

怒鳴っているわけでも、感情を露わにしているわけでもないのに、その奥にある強さがはっきり分かった。

「由真」

「はい」

「俺の後ろに隠れるな」

「え?」

「でも、一人で背負うな」

その言い方が、いかにも圭太さんらしいと思った。

守ると言いながら、甘やかしすぎない。

ちゃんと私も当事者として立たせる。

「……はい」

私は小さく頷いた。

応接ではなく、圭太は三浦さんを社長室へ通した。
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