冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
それだけで、この話がただの私的な感情論ではなく、圭太さん自身の意思だと分かる。

逃げない。

立場を曖昧にしない。

その覚悟が、この場所の選び方に出ていた。

「お待たせしました」

三浦さんはソファから立ち上がった。

いつものように穏やかな表情をしているけれど、その目は少しだけ張り詰めている。

「突然お伺いしてしまい、申し訳ありません」

「いえ」

私が答えようとした時、圭太さんが静かに口を開いた。

「一条圭太です」

三浦さんが軽く会釈する。

「三浦恒一郎です」

二人の間に流れる空気は静かだった。

怒気もない。声を荒げることもない。

だからこそ、余計に緊張する。

「座ってください」

圭太さんがそう促し、三人ともソファへ腰を下ろす。
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