冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした

9. 未来を確かめる夜

三浦さんが去ったあともしばらく、私は圭太さんの腕の中で動けなかった。

社長室のドアの向こうでは、いつも通り社員たちが忙しく働いているはずなのに、この部屋の中だけが別の時間になってしまったみたいだった。

「……終わったんですね」

胸に顔を埋めたまま呟くと、圭太さんが低く答える。

「ああ」

「なんだか、まだ夢みたいです」

「夢にする気はない」

その言葉に、少しだけ顔を上げた。

圭太さんはまっすぐ私を見ている。

もう何も曖昧にしないと決めた人の目だった。

「由真」

「はい」

「今夜、時間を空けろ」

「え?」

「話したい」

「ここじゃなくて、ですか」

「ここでは足りない」

 低い声に、胸が熱くなる。

「……分かりました」
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