冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
その夜、圭太に連れて行かれたのは、以前と同じく静かなホテルの一室だった。

けれど出張先の夜とは空気が違う。

あの時は、押し殺していた感情が溢れて止まらない夜だった。

今は、ようやく辿り着いた場所を確かめるみたいな静けさがあった。

部屋に入ると、圭太はすぐには私を抱き寄せなかった。

上着を脱ぎ、ネクタイを緩めてから、ソファに座るよう促す。

「座れ」

「……はい」

向かいではなく、隣に座る。

その距離が近いだけで、少し緊張する。

「由真」

「はい」

「今日は、ちゃんと話す」

その一言で背筋が伸びた。

「三浦の前でも言ったが、俺はおまえの人生を引き受けたいと思っている」

静かな口調だった。

でも、その分だけ本気が伝わる。
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