冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
「ならよかった」

私はそっと彼の肩にもたれた。

圭太さんも何も言わず、そのまま受け止めてくれる。

こうして寄りかかるだけで安心するなんて、前の私なら思ってもみなかった。

好きな人の隣にいるのに、苦しいより安心の方が大きい。

それが不思議で、幸せだった。

「由真」

「はい」

「もう、おまえに一人で悩ませるつもりはない」

そのまま、そっと額に口づけが落ちる。

激しく奪うようなものではなく、慈しむみたいなやわらかさだった。

「今日は、ちゃんと甘やかしてやる」

「そんな言い方」

「嫌か」

「嫌じゃないです」

「なら黙って預けろ」

低い声に、胸がくすぐったくなる。

ソファからベッドへ移っても、その夜の圭太は急がなかった。

何かを奪うみたいな熱ではなく、失くしかけたものを丁寧に取り戻すように、何度も名前を呼び、何度も触れてくる。
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