ポンコツ執事なのに、お嬢様に溺愛される
それから一時間ほどバスに揺られて二人がやってきたのは、街に唯一ある遊園地だった。
カラフルなゲートをくぐると、楽しげなBGMとポップコーンの甘い香りが二人を包み込む。
家族連れやカップルで賑わう園内を前に、ミアはまるで初めて世界を見た子供のように、きらきらと瞳を輝かせて周囲を見渡していた。
「凄い……本当にテレビで見たままだわ。ねえナギサ、あのアトラクションは何?」
「あ、あれはジェットコースターですね。絶叫系の花形というか……」
「面白そう! 早く行きましょう!」
ミアはナギサの手首を躊躇なく掴むと、ぐいぐいと人混みの中を引っ張っていく。
「ちょ、早いってお嬢……ミア」
きっとこれだけの人の中で、水色のワンピースを着た少女が白鷺財閥の令嬢であると気づく人はいない。
何処にでもいる一人の少女。遊園地ではしゃぎ、知らないアトラクションに驚く、少し世間知らずの普通の女の子だ。
「ねえ、ナギサは何処に行くとか決めているの?」
遊園地の中央にあるメリーゴーラウンドの前で立ち止まったミアは、すぐ傍でスマホに視線を落としていたナギサを見上げた。
ちょうど事前に考えておいたコースを確認していたナギサは、スマホの電源を切ってパンフレットをミアに手渡す。
不思議そうに首を傾げつつも、ミアはパンフレットを受け取って目を向けた。
「ミアの行きたい所、全部回ろう」
「……覚悟してなさい。閉園時間まで遊び尽くすんだから!」
どのアトラクションが人気で、どのアトラクションが待ち時間短く楽しめるのかなど、事前に調べてコースは決めていた。
けれど、今のミアに必要なのは知らない世界で自由気ままに遊ぶこと。
何処で何をするのかまで細かく決めてしまえば、屋敷で決まった生活を繰り返す日々と変わらない。
だからナギサは、とことんミアの我が儘に付き合うことにしたのだ。
「とは言ったけれど、どれがどんなアトラクションなのかよく分からないわね」
「だったら、ここから近い順に片っ端から周ります?」
「いいわね。じゃあ、はい」
そう言って、ミアはナギサに向かって手を伸ばした。
「?」
「わざわざ言わせないでよ。ほら、手」
たっぷりと時間を使ってから、ようやくミアが手を繋ぐように促していることに気づいた。
デートをしろと言った時も、手を繋ぐように促す時も、必ずツンツンお嬢様が現れる。
ナギサは諦めたように苦笑し、その小さくて愛らしい手を優しく握り返した。
「仰せのままに」
ミアは繋いだ手にぎゅっと力を込めると、早速すぐ目の前にある、お城のような外観のシューティングアトラクションへとナギサを引っ張っていった。
カラフルなゲートをくぐると、楽しげなBGMとポップコーンの甘い香りが二人を包み込む。
家族連れやカップルで賑わう園内を前に、ミアはまるで初めて世界を見た子供のように、きらきらと瞳を輝かせて周囲を見渡していた。
「凄い……本当にテレビで見たままだわ。ねえナギサ、あのアトラクションは何?」
「あ、あれはジェットコースターですね。絶叫系の花形というか……」
「面白そう! 早く行きましょう!」
ミアはナギサの手首を躊躇なく掴むと、ぐいぐいと人混みの中を引っ張っていく。
「ちょ、早いってお嬢……ミア」
きっとこれだけの人の中で、水色のワンピースを着た少女が白鷺財閥の令嬢であると気づく人はいない。
何処にでもいる一人の少女。遊園地ではしゃぎ、知らないアトラクションに驚く、少し世間知らずの普通の女の子だ。
「ねえ、ナギサは何処に行くとか決めているの?」
遊園地の中央にあるメリーゴーラウンドの前で立ち止まったミアは、すぐ傍でスマホに視線を落としていたナギサを見上げた。
ちょうど事前に考えておいたコースを確認していたナギサは、スマホの電源を切ってパンフレットをミアに手渡す。
不思議そうに首を傾げつつも、ミアはパンフレットを受け取って目を向けた。
「ミアの行きたい所、全部回ろう」
「……覚悟してなさい。閉園時間まで遊び尽くすんだから!」
どのアトラクションが人気で、どのアトラクションが待ち時間短く楽しめるのかなど、事前に調べてコースは決めていた。
けれど、今のミアに必要なのは知らない世界で自由気ままに遊ぶこと。
何処で何をするのかまで細かく決めてしまえば、屋敷で決まった生活を繰り返す日々と変わらない。
だからナギサは、とことんミアの我が儘に付き合うことにしたのだ。
「とは言ったけれど、どれがどんなアトラクションなのかよく分からないわね」
「だったら、ここから近い順に片っ端から周ります?」
「いいわね。じゃあ、はい」
そう言って、ミアはナギサに向かって手を伸ばした。
「?」
「わざわざ言わせないでよ。ほら、手」
たっぷりと時間を使ってから、ようやくミアが手を繋ぐように促していることに気づいた。
デートをしろと言った時も、手を繋ぐように促す時も、必ずツンツンお嬢様が現れる。
ナギサは諦めたように苦笑し、その小さくて愛らしい手を優しく握り返した。
「仰せのままに」
ミアは繋いだ手にぎゅっと力を込めると、早速すぐ目の前にある、お城のような外観のシューティングアトラクションへとナギサを引っ張っていった。