クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした
「みんなが帰ったのに、なかなか来ないから」
翼くんは、私の隣の椅子を引いて座った。電気もつけないまま、二人で窓の外を眺めた。
冬の空に、月が白く輝いている。
「翼くん」
「ん?」
「……私、ずっと言えなかったことがあるの」
胸のドキドキが、うるさいくらい大きくなる。
あの夜、図書室で「ありがとう」しか言えなかった。言いたかったのは、その言葉じゃなかった。
「翼くんがいてくれたから、ここまで来られた。秘密を守ってくれて、一緒に走ってくれて……ううん、それだけじゃなくて」
声が、震える。
怖いけど、言わなきゃ。
深呼吸すると、私は意を決して口を開いた。
「あのね、私……翼くんのことが、好き」
しんとした図書室に、自分の声が溶けていく。
言ってしまった。心臓がうるさすぎて、自分の耳まで壊れてしまいそうだ。