クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした

「それじゃあ、これからも……ずっと、隣にいてもいいかな」

「うん。私も、ずっと一緒にいたい」

私は翼くんと並んで、窓の外を眺めた。

さっきまで冷たく見えていた冬の月が、今はなぜか、とても優しく私たちを照らしている気がした。

「ねえ、翼くん」

「ん?」

「優衣ちゃんに、報告したい」

翼くんが、黙って隣にいてくれた。

「ねえ、優衣ちゃん。見てる?」

私は、夜空に向かって語りかける。空は、遠く離れたアメリカともつながっているから。

「あの手紙がなくなっても、あなたとの思い出は消えなかった。それどころか、ずっと私を動かしてきたんだよ」

窓の外では、月が静かに輝いている。

「私、たくさんの宝物を見つけたよ。全部、すぐそばにあったんだ」

これからは透明人間でも、怪盗ムーンでもない。七瀬美月として送る、新しい毎日が始まる。
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