クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした

「今日、一緒に来られて良かった」

「……うん」

声を出すのが、やっとだった。

歌声が体育館を満たしている。先輩と後輩が声を合わせて、大切な曲を歌っている。

大切なものは、すぐそばにある。

優衣ちゃん。あなたは遠いアメリカにいる。会いたくても、会えない。

だけど、あなたとの思い出は、私の心の中にある。

そして今は、凛ちゃんがいる。翼くんもいる。

気づいていなかっただけで、ずっとそばにいてくれた。

歌が終わり、割れんばかりの拍手が体育館に響いた。

私もその拍手の中にいた。

さくらちゃんの件は、終わった。次に何が来るかは、まだわからない。

御影先輩は、今も変わらず怪盗ムーンを追ってきている。

でも今は、この歌を聴けて良かったと思った。

翼くんと、並んで。
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