クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした
「体は……俺より小さかった。声は高くて、男か女かわからなかった」
「動き方は? 立ち方、歩き方、何か気になったことはなかった?」
宮本くんが、少し考える。
「そういえば……すごく足元を気にしてたな。地面を確認するみたいに。それと、話しながら何度も時計を見てた」
「時計を……」
「うん。あと、ポケットからスマホを落としそうになって。慌てて拾い上げたとき、画面が一瞬明るくなって、フリマアプリみたいな画面が見えたんだ」
「フリマアプリ……」
翼くんと目を合わせる。
フリマアプリって確か、スマホで物を売り買いするアプリのことだよね?
「時計、売るつもりだったんだ」
翼くんが小声でつぶやいた。
「宮本くん、ありがとう。もう一つだけ聞かせて。その人、どの方向から来たか覚えてる?」
「南門のほうからだったと思う」
南門。古い校舎に近い入口だ。
私は、頭の中で学校の地図を広げる。
南門から体育館の裏まで、誰にも見つからずに来られる道は一つしかない。
旧棟の横を通る、あの細い道だ。
昼間でも日が当たらなくて、ひんやりしているあの道。あそこは、グラウンドからも校舎からも見えない。
あんな寂しい道、用事がない限り、普通の生徒は通らないはず……。
つまり、犯人はこの学校のことをすみずみまで知っている、同じ学校の生徒だ。