クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした

「体は……俺より小さかった。声は高くて、男か女かわからなかった」

「動き方は? 立ち方、歩き方、何か気になったことはなかった?」

宮本くんが、少し考える。

「そういえば……すごく足元を気にしてたな。地面を確認するみたいに。それと、話しながら何度も時計を見てた」

「時計を……」

「うん。あと、ポケットからスマホを落としそうになって。慌てて拾い上げたとき、画面が一瞬明るくなって、フリマアプリみたいな画面が見えたんだ」

「フリマアプリ……」

翼くんと目を合わせる。

フリマアプリって確か、スマホで物を売り買いするアプリのことだよね?

「時計、売るつもりだったんだ」

翼くんが小声でつぶやいた。

「宮本くん、ありがとう。もう一つだけ聞かせて。その人、どの方向から来たか覚えてる?」

「南門のほうからだったと思う」

南門。古い校舎に近い入口だ。

私は、頭の中で学校の地図を広げる。

南門から体育館の裏まで、誰にも見つからずに来られる道は一つしかない。

旧棟の横を通る、あの細い道だ。

昼間でも日が当たらなくて、ひんやりしているあの道。あそこは、グラウンドからも校舎からも見えない。

あんな寂しい道、用事がない限り、普通の生徒は通らないはず……。

つまり、犯人はこの学校のことをすみずみまで知っている、同じ学校の生徒だ。
< 67 / 107 >

この作品をシェア

pagetop