クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした
「宮本くん、助かったよ。ありがとう」
教室を出ると、翼くんが小声で言った。
「在校生で、スマホのアプリで物を売ろうとしてる……。腕時計も、もう売ってるかもしれないね」
「うん。それと、さっきの情報が使えると思う」
「足元を気にして、時計を何度も確認してたこと?」
翼くんの問いに、私は小さく頷いた。
「体育館の裏って、放課後は部活のランニングコースになるでしょ? 五分でも遅れたら、走ってる生徒たちとばったり会っちゃう」
「だから、見つかるのがこわくて、時間を何度も確認して焦ってたんだね」
「そう。それに、あの裏道……排水溝のフタが、踏むとガタッて大きな音が鳴る場所があるの。夜に何度も通った私だから知ってることだけど……」
「そうか。犯人も、その場所を知っていて、音を立てないように足元を気にしていたんだ。きっと、あの道を使いなれている誰かだよ」
翼くんが、静かに頷いた。
「在校生で、しかも夜の校内を知ってる。……絞れてきたね」
私たちは、顔を見合わせた。
*
放課後。私と翼くんは図書室に向かった。
フリマアプリで「腕時計 RAIKO」と検索すると、すぐに一件ヒットした。
出品日は十月二十九日。価格は一万五千円。写真には、銀色の腕時計が映っている。宮本くんが教えてくれた、腕時計の特徴と同じ。
良かった、まだ売れていない。
「出品者のプロフィール、見て」
翼くんが画面を覗き込む。