クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした
翌日、金曜日の朝。
昇降口の掲示板に、新しい貼り紙があった。
『先日の件、誤解でした。
怪盗ムーンは、本当は困っている人を助ける人です。
偽物がいましたが、本物の怪盗ムーンに助けてもらいました。
お騒がせして、すみませんでした。
──二年三組 宮本健真』
貼り紙の前で、私はしばらく立ち止まった。胸の奥が、静かにほぐれていくような温かさに満ちていく。
「良かったね、美月」
翼くんが、隣で微笑む。
「うん」
私も、微笑み返した。
教室に入ると、クラスメイトたちの視線が変わっていた。
「七瀬さん、やっぱり違ったんだね」
「良かった」
凛ちゃんが、ニコニコしながら言った。
「ほら、言ったでしょ。美月ちゃんは、そんなことしないって」
「ありがとう、凛ちゃん」
自分の席に着くと、机の上に小さなメモが置かれていた。
今度は、違う言葉。
『ごめんね。疑って』
誰が書いたのかは、分からない。だけど、その言葉が嬉しかった。