クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした

否定すべきだ。でも、凛ちゃんの目を見ると、嘘をつけなかった。

凛ちゃんは、ずっと私を見ていた。責めるんじゃなくて、ただ待っている目だった。

一年生のころから、廊下で声をかけてくれた。お弁当を一緒に食べようと隣に座ってくれた。

「美月ちゃんは私の友達だもん」と、あっさりと、ためらいなく言ってくれた人。

その凛ちゃんに、今、見つめられている。

指先が震えた。だけど、怖いのとは少し違う気がした。ずっと一人で抱えてきた秘密を、やっと誰かに渡せるような──そんな感じがした。

私は、ゆっくりと頷いた。

「やっぱり!」

凛ちゃんの顔が、ぱっと明るくなった。

「……怒らないの?」

「なんで怒るの?」

凛ちゃんが首をかしげる。

「黙ってたし、危ないことをしてるから」

「もちろん、心配はしてたよ」

凛ちゃんは、少し真剣な顔になった。

「私、ずっと前から気づいてたから。翼くんにも話したんだ。私も、美月ちゃんの力になりたいって」

「翼くんに……?」

「うん。翼くんは、絶対に『美月ちゃんが怪盗だ』なんて言わなかったけど、美月ちゃんを心配してるのはバレバレだった」

凛ちゃんが微笑む。
< 81 / 107 >

この作品をシェア

pagetop