クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした
否定すべきだ。でも、凛ちゃんの目を見ると、嘘をつけなかった。
凛ちゃんは、ずっと私を見ていた。責めるんじゃなくて、ただ待っている目だった。
一年生のころから、廊下で声をかけてくれた。お弁当を一緒に食べようと隣に座ってくれた。
「美月ちゃんは私の友達だもん」と、あっさりと、ためらいなく言ってくれた人。
その凛ちゃんに、今、見つめられている。
指先が震えた。だけど、怖いのとは少し違う気がした。ずっと一人で抱えてきた秘密を、やっと誰かに渡せるような──そんな感じがした。
私は、ゆっくりと頷いた。
「やっぱり!」
凛ちゃんの顔が、ぱっと明るくなった。
「……怒らないの?」
「なんで怒るの?」
凛ちゃんが首をかしげる。
「黙ってたし、危ないことをしてるから」
「もちろん、心配はしてたよ」
凛ちゃんは、少し真剣な顔になった。
「私、ずっと前から気づいてたから。翼くんにも話したんだ。私も、美月ちゃんの力になりたいって」
「翼くんに……?」
「うん。翼くんは、絶対に『美月ちゃんが怪盗だ』なんて言わなかったけど、美月ちゃんを心配してるのはバレバレだった」
凛ちゃんが微笑む。