クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした
「……っ」
のどがカラカラに乾く。
「……違います」
やっとの思いで絞り出した声は、自分でも驚くほど上ずっていた。
御影先輩は黙って私を見つめた。それから、ふっと息を吐いた。
「正直に言ってください」
彼の声が、わずかに柔らかくなった。
「僕は……君を追い詰めたいわけじゃない。証拠は、ほぼ揃っている」
先輩は、写真をしまった。
「でも……僕は、君に自分から名乗り出てほしいんだ」
「え……?」
「先生に報告するのは簡単です。しかし、それだと君を『悪いことをした生徒』にしてしまう」
先輩の目に、苦しそうな色が浮かんだ。
「君が怪盗ムーンとして、誰かを助けてきたことは知っています。だから……」
先輩は、私をまっすぐ見つめた。
「自分の意志で、やめてほしい。そして、やってきたことを、自分の言葉で説明してほしい」
「先輩……どうして、そんなふうに思うんですか」
先輩は、しばらく口を閉じていた。