クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした

木曜日の放課後。私は凛ちゃんと翼くんを、誰もいない図書室に呼び出した。

カーテンが冷たい風にゆらゆらと揺れ、冬の短い日差しが机の影を長く伸ばしている。

「二人とも、話があるの」

「どうしたんだよ、美月。怖い顔して」

翼くんに聞かれ、私は深呼吸をした。

「昨日、御影先輩に……疑われた」

「え……?」

凛ちゃんが、驚いた顔をする。

「作戦は見抜かれていたみたい。防犯カメラの写真を見せられて、『あなたが怪盗ムーンですね』って言われた」

「美月……」

翼くんが、表情を曇らせる。

「もう、限界かもしれない。このままじゃ、いつか必ず捕まる」

私は、二人を見つめた。

「だから……怪盗ムーンは、やめようと思う」

「美月ちゃん!」

凛ちゃんが、私の肩をがしっと掴む。

「困ってる人は? どうするの?」

「御影先輩に疑われて、凛ちゃんや翼くんまで巻き込んだら……」

「そんなことない」

翼くんが、首を横に振る。

「美月は、困っている人を助けてきた。それは、間違ってない」

「だけど……」

口を開きかけた、そのとき。

『星の王子さま』が、本棚から少し飛び出しているのに気づいた。

翼くんが、それを取り出す。

「手紙だ」

三人で、覗き込んだ。
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