クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした
「今行くのは、危ないよ。もし、御影先輩が待ち構えてたら……」
「分かってる。でも、この人を助けずに終われない」
私は、千咲先輩の手紙をそっと胸に押し当てた。
あのときの私には、助けてくれる怪盗ムーンはいなかった。
でも、今の千咲先輩には、私がいる。
「ただの紙きれ」なんて言わせない。あれは、世界でたった一つ、おばあちゃんが残してくれた宝物なんだから。
「もしかしたら、これが最後の依頼になるかもしれない。それでも、私は行く」
「美月……」
翼くんは、しばらく私を見ていた。それから、ノートを開いた。
「わかった。作戦を立てよう」
翼くんがノートにペンを走らせながら、役割を整理していった。
翼くんが校舎の入口で、御影先輩の動きを見張る。
凛ちゃんが森川先生のところへ進路相談を装って向かい、時間を稼ぐ。
その間、私が職員室に入って手紙を探す。
「春野さんは、何分くらい稼げる?」
「十五分なら大丈夫。進路について、悩んでいるのは本当だし」
凛ちゃんが、少しだけ苦笑いした。
「問題は、職員室の中に他の先生がいるかどうかだよね」
翼くんが、声をひそめて続けた。