クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした
最終話 怪盗ムーン、最後の夜
金曜日の夜、午後七時。
昨日立てた作戦を、いよいよ実行するときがきた。
私は図書室の窓から、校庭を見下ろした。部活を終えた生徒たちが、次々と校門へと向かっていく。
空には、昨日と同じ細い月。
「美月、準備はいい?」
隣に立つ翼くんの声に、私は小さく頷いた。
黒いパーカーを手に取ると、ずしりと重みを感じる。
「これ、つけてて」
翼くんが、連絡用のイヤホンを渡してくれる。
「情報はすぐに流す。判断は美月がする。それでいいか?」
「うん」
変わらない言葉に、足に力が入った。
もしかしたら、御影先輩が校舎のどこかに待ち構えているかもしれない。
それでも、行かなきゃいけない。誰かの宝物を守るために。