クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした

凛ちゃんが相談室で森川先生に声をかけるのを遠くから見届けて、私は職員室へ向かった。

廊下に人の気配はない。秘密の通路を使わず、正面から歩く。今夜は、あえて。

月明かりだけが差し込む、しんと冷えた職員室。

スマホのライトを指で覆いながら、森川先生のロッカーを探す。

見つけた。

私はピックを取り出し、ロッカーの鍵穴に差し込む。いつもの感触。指先に全神経を集中させる。

カチ、カチ、カチ……カチャ。

扉が開いた。奥を探ると、すぐに目的の封筒が見つかった。『江藤千咲』の文字。

「あった……!」

手に取ろうとして、止まった。

その下に、別の紙が見えた。手紙だ。

『私から、祖母の手紙を遠ざけてください』

……えっ?

早く逃げなきゃいけないのに、思わず手紙を手に取ってしまった。

開いて、読む。
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