クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした
私は、手紙を見つめる。
一通は、御影先輩が書いたニセの依頼。もう一通は、千咲先輩が先生に預けた本物の手紙。
「ロッカーを開けてこの二通を見たとき、罠だって分かりました。千咲先輩は、自分の意志で手紙を預けていた。怪盗ムーンに取り戻してほしかったわけじゃなかったんだって」
震える声を、なんとか押し出す。
「……そうですね。君なら、その二通を見ればすぐに気づくと思っていました」
「先輩が書いた依頼は、私を捕まえるための罠だった。でも……」
私は御影先輩をまっすぐに見据えた。
「そこに書かれていた千咲先輩の苦しみだけは、本物でした。先輩が私を騙すために利用した彼女の気持ちに、嘘はなかった。だから、私は……」
逃げるわけにはいかなかった。ここでその想いまで見捨てたら、私は本当の泥棒になってしまう。
御影先輩は、私からゆっくりと視線を外した。