真夜中にハーブティーを、あなたとふたりで
「そうだ。もうすぐ近所で夏祭りがあるんだけれど、知っている?」
「夏祭り。あぁ、川の向こうにある神社とその周辺の商店街が中心になってするお祭りね」
「さすが地元民、俺より詳しい。あのお祭りって事前申請をすれば、露店が出せるそうなんだ。最近よく来るお客さんが教えてくれて、このあたりで店を出していたら優先的にいい場所を融通してくれるらしい。今年の申請は間に合わなかったけれど、来年は出店してみようかなと思っていて。それで下見も兼ねて……っていう長い前置きは建前で」
「建前、長すぎ!」
「はは、つまりはいい口実ができたから、香帆さんを夏祭りに誘おうと思った。どうかな?」
ストレートな言い方は、ともすれば軽くなりがちだ。
でも、隼人くんのちょっと緊張した表情から感じるのは、誠意だった。
「その日、駅に着くのは八時ぐらいになるかもしれない」
「お祭り会場は駅から徒歩十五分くらいだから、充分間に合う。疲れていなければ、ぜひ案内して欲しい」
「分かった。じゃぁ、日本橋を出たら連絡するね。だいたい一時間後ぐらいに駅に着くと思う」
「やった。それじゃ、決定だな。ゼリーの試食もしてくれたお礼に、好きなものをご馳走するよ」
隼人くんが笑う。さらに「りんご飴?」「綿菓子?」と続けて聞いてくる。
「もう、子供じゃないんだから」
「じゃ、アルコールだな」
「それはお祭りにかかせないでしょう」
ぐっと親指を立てる。
地元の夏祭りなのでそれほど規模は大きくないけれど、最後には花火も上がる。
大人になってからは、東京の大きな花火大会に行くか、仕事だった。
だから地元の夏祭りは十年ぶりだ。
「花火も上がるって聞いた。って、地元民なら知っているか」
「二十分ぐらいの短いやつだけれど、綺麗だよ」
「俺、それぐらいがちょうどいいかも。長いと途中で飽きちゃうんだ」
「風流がないねぇ。ま、ちょっと気持ちは分かるけれど」
くすくすと笑いながら、私は残りのハイビスカスゼリーも平らげた。
まだ、隼人くんの想いに答えるだけのものは、私の中にない。
でもその種が、ちょっとずつ大きくなる気配を感じた。
「夏祭り。あぁ、川の向こうにある神社とその周辺の商店街が中心になってするお祭りね」
「さすが地元民、俺より詳しい。あのお祭りって事前申請をすれば、露店が出せるそうなんだ。最近よく来るお客さんが教えてくれて、このあたりで店を出していたら優先的にいい場所を融通してくれるらしい。今年の申請は間に合わなかったけれど、来年は出店してみようかなと思っていて。それで下見も兼ねて……っていう長い前置きは建前で」
「建前、長すぎ!」
「はは、つまりはいい口実ができたから、香帆さんを夏祭りに誘おうと思った。どうかな?」
ストレートな言い方は、ともすれば軽くなりがちだ。
でも、隼人くんのちょっと緊張した表情から感じるのは、誠意だった。
「その日、駅に着くのは八時ぐらいになるかもしれない」
「お祭り会場は駅から徒歩十五分くらいだから、充分間に合う。疲れていなければ、ぜひ案内して欲しい」
「分かった。じゃぁ、日本橋を出たら連絡するね。だいたい一時間後ぐらいに駅に着くと思う」
「やった。それじゃ、決定だな。ゼリーの試食もしてくれたお礼に、好きなものをご馳走するよ」
隼人くんが笑う。さらに「りんご飴?」「綿菓子?」と続けて聞いてくる。
「もう、子供じゃないんだから」
「じゃ、アルコールだな」
「それはお祭りにかかせないでしょう」
ぐっと親指を立てる。
地元の夏祭りなのでそれほど規模は大きくないけれど、最後には花火も上がる。
大人になってからは、東京の大きな花火大会に行くか、仕事だった。
だから地元の夏祭りは十年ぶりだ。
「花火も上がるって聞いた。って、地元民なら知っているか」
「二十分ぐらいの短いやつだけれど、綺麗だよ」
「俺、それぐらいがちょうどいいかも。長いと途中で飽きちゃうんだ」
「風流がないねぇ。ま、ちょっと気持ちは分かるけれど」
くすくすと笑いながら、私は残りのハイビスカスゼリーも平らげた。
まだ、隼人くんの想いに答えるだけのものは、私の中にない。
でもその種が、ちょっとずつ大きくなる気配を感じた。