真夜中にハーブティーを、あなたとふたりで
「うん、これが俺にとっていいペースみたい。プログラマーの仕事も決して嫌いじゃないんだ。ただ、一年前みたいな働き方が無理ってだけで、パソコンに向き合う時間は楽しい。それと同じぐらい、ハーブティーカフェもやりがいを感じている」
「すごいね。二足の草鞋だ。私、隼人くんは自分なりの仕事の仕方を模索しているんだってずっと思っていたけれど、すでに見つけていたんだね」
感心すると、「それほど大袈裟な話じゃないよ」と言いながら、パンを二切れトースターに入れた。
間取りは一DK。ミニキッチンが部屋の端にあり、ローテーブルとソファが置かれている。部屋の隅にはベッドもあった。
外観は古いのに中はしっかりリフォームされていて、フローリングの床はまだ新しい。壁紙だって白くて綺麗だし、ミニキッチンも新品に見える。
思わず部屋を見渡していると、隼人くんが「ゆで卵でいい?」と聞いてきた。
「あっ、手伝うよ」
「いいよ。それから、叔母からこのアパートを借りるときに、一階とこの部屋だけはリフォームしたんだ。外観に比べて綺麗だろう?」
ここに来るまでにあった二部屋はまだ手付かずで、ゆくゆくは二部屋を繋げてひとつにしようと考えているらしい。
叔母さんは独身らしく、いずれ隼人くんがこのアパートを相続すると教えてくれた。
「もしかして、ジロジロ見ていたのに気づいた?」
「うん、頭の中で妙なものは片付けてあるよなって確認していた」
「……じゃ、とりあえずベッドの下でも見てみようかな?」
「そんなベタなところには、なにもないから」
笑いながら、隼人くんが冷蔵庫を開ける。そうして瓶を取り出した。
中身はグリーンペースト、のように見える。
興味をそそられキッチンへ行くと、バジルペーストだと教えてくれた。
「すごい! ハーブティー以外も作っているんだ」
「気まぐれだよ。レシピはネットで調べた」
「それ、どうやって使うの?」
「パスタに絡めて使うことが多いけれど、今日はドレッシング代わりにしようと思って」
バジルペーストを小さな器に大匙一杯ぐらい入れると、オリーブオイルとレモン汁を加え、塩コショウで味を調えたら最後にマヨネーズであえる。
「これで出来上がり」
「すごい! おいしそう」
「おいしそう、じゃなくておいしいんだよ」
そう言うと、隼人くんは私のおでこをコツンと小突いて笑う。
その笑みが柔らかくて、甘くて。頭が痺れるのは……徹夜のせいにしておこう。
朝食のメニューはトーストにゆで卵、バジルドレッシングがふんだんにかかったサラダ。
それがローテーブルに並ぶ。
ソファを背もたれのようにして座ると、隼人くんは私の隣にあぐらをかいた。
「これ、パンの上にサラダを置いて、そこにフォークで潰したゆで卵を乗せるのがおすすめ。ちょっと食べにくいけどね。追いバジルドレッシングは必須だな」
「なにそれ、絶対おいしいやつ!」
さっそくゆで卵をフォークで崩す。
パンに乗せて食べると、ちょっとポロポロこぼれる。でも、味は間違いない。
「おいしい。お店で出せるんじゃない?」
「うーん。カフェはあくまでハーブティーがメインで、ランチはしないつもりなんだ。食べ物を出すとしてもスィーツかな」
「そういえば、お店を開いたのは、疲れたときの隠れ家にして欲しいからって言っていたね」
人生に疲れたとき、ちょっと立ち寄って休憩できる場所。美味しいハーブティーを飲んで、少しだけ明日も頑張ろうって思えてもらえたら嬉しい。初めてあったとき、隼人くんはそんな風に語っていた。
「うん、そうなればいいと思う」
「すごいね。二足の草鞋だ。私、隼人くんは自分なりの仕事の仕方を模索しているんだってずっと思っていたけれど、すでに見つけていたんだね」
感心すると、「それほど大袈裟な話じゃないよ」と言いながら、パンを二切れトースターに入れた。
間取りは一DK。ミニキッチンが部屋の端にあり、ローテーブルとソファが置かれている。部屋の隅にはベッドもあった。
外観は古いのに中はしっかりリフォームされていて、フローリングの床はまだ新しい。壁紙だって白くて綺麗だし、ミニキッチンも新品に見える。
思わず部屋を見渡していると、隼人くんが「ゆで卵でいい?」と聞いてきた。
「あっ、手伝うよ」
「いいよ。それから、叔母からこのアパートを借りるときに、一階とこの部屋だけはリフォームしたんだ。外観に比べて綺麗だろう?」
ここに来るまでにあった二部屋はまだ手付かずで、ゆくゆくは二部屋を繋げてひとつにしようと考えているらしい。
叔母さんは独身らしく、いずれ隼人くんがこのアパートを相続すると教えてくれた。
「もしかして、ジロジロ見ていたのに気づいた?」
「うん、頭の中で妙なものは片付けてあるよなって確認していた」
「……じゃ、とりあえずベッドの下でも見てみようかな?」
「そんなベタなところには、なにもないから」
笑いながら、隼人くんが冷蔵庫を開ける。そうして瓶を取り出した。
中身はグリーンペースト、のように見える。
興味をそそられキッチンへ行くと、バジルペーストだと教えてくれた。
「すごい! ハーブティー以外も作っているんだ」
「気まぐれだよ。レシピはネットで調べた」
「それ、どうやって使うの?」
「パスタに絡めて使うことが多いけれど、今日はドレッシング代わりにしようと思って」
バジルペーストを小さな器に大匙一杯ぐらい入れると、オリーブオイルとレモン汁を加え、塩コショウで味を調えたら最後にマヨネーズであえる。
「これで出来上がり」
「すごい! おいしそう」
「おいしそう、じゃなくておいしいんだよ」
そう言うと、隼人くんは私のおでこをコツンと小突いて笑う。
その笑みが柔らかくて、甘くて。頭が痺れるのは……徹夜のせいにしておこう。
朝食のメニューはトーストにゆで卵、バジルドレッシングがふんだんにかかったサラダ。
それがローテーブルに並ぶ。
ソファを背もたれのようにして座ると、隼人くんは私の隣にあぐらをかいた。
「これ、パンの上にサラダを置いて、そこにフォークで潰したゆで卵を乗せるのがおすすめ。ちょっと食べにくいけどね。追いバジルドレッシングは必須だな」
「なにそれ、絶対おいしいやつ!」
さっそくゆで卵をフォークで崩す。
パンに乗せて食べると、ちょっとポロポロこぼれる。でも、味は間違いない。
「おいしい。お店で出せるんじゃない?」
「うーん。カフェはあくまでハーブティーがメインで、ランチはしないつもりなんだ。食べ物を出すとしてもスィーツかな」
「そういえば、お店を開いたのは、疲れたときの隠れ家にして欲しいからって言っていたね」
人生に疲れたとき、ちょっと立ち寄って休憩できる場所。美味しいハーブティーを飲んで、少しだけ明日も頑張ろうって思えてもらえたら嬉しい。初めてあったとき、隼人くんはそんな風に語っていた。
「うん、そうなればいいと思う」