心の彩はかわらねど
すると闇の空に、まっ白な光が広がり、高校の制服を着たツインテールの女の子が飛び出してきました。
「ヤッホ〜、わたし〜! 未来の君だよ。第一志望、受かったの! 」
あまりの急展開に、彩葉は戸惑いました。
「わたし、受験前に倒れたんだけど……」
「ホントだよ〜。寝ずに頑張った努力の末にね! お父さんお母さんにも褒められてさ〜」
(ありえない……)
「わたし?」
彩葉はとっくに分かっていました。寝ずに天才になれることも、両親が自分を褒めてくれる未来も、ありえないことを。
ツインテールの彩葉はさらに続けました。
「高校生活はサイコーなんだよ〜! 文芸部に入って友達ができてさ、一緒にアンソロ出したら、かっこいい先輩に褒められて〜、告白までされてさ〜」
「わたしが告白されたっ!?」
(ありえなすぎる!! このわたしに〝告白〟だなんてアオハルは一生無縁なのにっ!!)
あまりに充実している自分の姿を想像して、彩葉は混乱しました。
(うぅ……吐きそう。なんてキラキラしているんだ、このわたしは……)
気が滅入る彩葉に、ツインテールの彩葉がほっぺをツンツンしました。
「大丈夫かい、わたし?」
(さっきからなんなんだ、このハイテンションは。わたしの柄じゃないのに)
「あっ、彼氏が呼んでる。じゃあね〜、いつぞやのわたしっ!」
ツインテールの彩葉は、空へ帰っていきました。彩葉は冷たい眼差しで見送ると、やがて切ない顔をしました。
(あれは全部……わたしの理想だ。友達に彼氏、ハイテンションなわたし、両親に愛されることだって、叶わない夢……)
彩葉は口を真一文字に結び、悔しさをぐっと呑み込みながら、空を睨みました。
(バイバイ、わたしのキレイなかぐや姫)
闇に呑まれながら、届かぬ光へ手を伸ばしました。零れた涙が、星のように光り、舞い散りました。