心の彩はかわらねど
輝媛
「はあぁ」
病院のコンビニに向かう途中、ため息をついた輝媛の顔に、影が差しました。
彩葉の母親と話したときのことを思い出すと、腹の底が熱くなってきます。
『彩葉は本当にダメな子なんです。勉強も運動も……お姉ちゃんはもっとできたのに』
頭を抱える母親に、輝媛は思わずため息をつきました。
(ほらぁ助けなんか、求めれるわけないよな)
それでも気を取り直して、言いました。
『お姉さんと彩葉ちゃんは、ちがう人間ですよ。得意・不得意が違うのは当たり前のことです。
彩葉ちゃんだって、全部がダメってわけじゃないですよね? 得意な教科もあったはずです』
すると母親は顔を上げ『……国語が得意でした。あと社会もそれなりに』と不満げに言いました。
『彩葉ちゃんは、思いやりのあるええ子ですね』
輝媛はにっこりと笑いました。
母親は『どこがですか』と肩をすくませました。
『国語は人の文章に触れる教科、社会は人の歴史や暮らしを学ぶ教科です。
そこに関心があるということは、人を知りたいという素敵な心があるってことです』
しかし彼女は鼻で笑い『何の役にも立たない』と一蹴しました。
輝媛は深呼吸で気を落ち着かせ、ハッキリと言いました。
『値千金ですよ。優しさは心を癒す水のようなものです。
〝因果応報〟という言葉のように、彩葉ちゃんにだって、必ずええ結果が待っています』
それでも、彩葉の母親は納得しませんでしたが、輝媛はかたく信じています。
(彩葉ちゃんはぶち強くてええ子じゃけぇ、絶対に報われるわ!)