心の彩はかわらねど
 メロンパンを買ってきた輝媛は、彩葉の部屋に戻りました。
「彩葉ちゃん、メロンパン買うてきたで〜」
 体を起こした彩葉は、輝媛を見ると、ぽっとほっぺを赤く染めて、うれしそうに言いました。
「ありがとうございます」
 かわいいほほ笑みに、輝媛もほっぺをぽっとさせました。
「あれ、もう元気になったの?」
「はい。……多少は」
 彩葉は、緊張してぎこちない手でメロンパンを受け取ると、すこしためらった末、さらに言葉を重ねました。
「メロンパンもそうなんですけど、母とのこと、うちの親がどんなこと言っていたか、なんとなく想像ができます。
 ……輝媛先生がわたしを思ってくれたこと、とてもうれしいです」
 彩葉は恥ずかしそうに、でもとびきりの笑顔を見せました。
 あまりに健気な彩葉に、輝媛はじーんと涙が溢れました。
「彩葉ちゃ〜ん」
 胸いっぱいにぎゅーっと抱きしめました。
「やっぱ君はぶちええ子じゃ〜」
(これはヤバい! ヤバい! ヤバい!)
 推し、つまり憧れである輝媛から、大胆なハグを貰った彩葉は、うれしさや恥ずかしさのあまり、パンパンに膨らんだフグのような顔をしていました。
 やがて離れた輝媛は、彩葉にいいました。
「ほれでな、一つ提案なんじゃけど。彩葉ちゃん、物語博士であるあたしの弟子になってみん?」
「弟子?」
「君、物語とか好きじゃろ? 日本にはな『かぐや姫』みたいに、昔から語り継がれた物語がよーあるんよ。それには〝心〟が宿ってん。知りたくない?」
 彩葉はうつむき、しばらく考えました。
「是非、お願いしたいです!」
< 6 / 13 >

この作品をシェア

pagetop