心の彩はかわらねど
退院した彩葉は、輝媛が運転する車の助手席に座りました。真剣にハンドルを握るその横顔を、彩葉はじっと見つめていました。
「あたしに惚れちゃった?」
その一言に彩葉は心を撃ち抜かれ、輝媛に背中を向けました。
「とっくに好きですよ。……何年も長いこと」
それから会話を弾ませること、およそ二時間。輝媛の車は山奥にある里にやってきました。
「我らが大月家にとうちゃーく!」
二階建てのおもむきのある民家。広い庭には桜の木が植えられ、枝にはメジロがちょこんと止まっていました。
(……まさかわたしが、輝媛先生と話し込んでしまったなんて)
彩葉は夢見の心地にいました。
「さあ、降りるよー」
「――降りる、とは」
ぼんやりとした彩葉の前で、輝媛が助手席のドアを開けると、花の香りがふんわりと広がりました。
(近い!)
彩葉はカチコチに固まってしまいました。
「彩葉ちゃん、お手をどうぞ」
ドアの向こうの優しい声。差し出された大きな手に、彩葉は自分の小さな手を重ねます。
「僕は輝媛先生の助手の、雨月克地です。よろしくね」
割烹着姿のべっぴんさんは、穏やかにほほ笑みました。
(きれいな人だ)
「あら、克地ちゃん。割烹着なんてよー着んじゃん」
珍しい姿の克地に、輝媛は不思議そうに言いました。
「彩葉ちゃんを迎えるために、少しでも助手っぽくと」
「あざといね〜」
「おかえりぃ、輝媛」
とそこへ、小柄な老婆が出てきました。輝媛の祖母・タケといいます。
「わ〜、おばあちゃーん!」
輝媛は大喜びでタケの元へ飛びついて、ぎゅっと抱きしめました。
(愛情がすごいなぁ)
彩葉はそう思いました。すると克地が言いました。
「先生は超がつくほどのおばあちゃん子なんだよ。
素敵だよね『好き』って気持ちを素直に出せるって」
しみじみと言う克地の顔を、彩葉は関心を向けるように見つめました。
「あたしに惚れちゃった?」
その一言に彩葉は心を撃ち抜かれ、輝媛に背中を向けました。
「とっくに好きですよ。……何年も長いこと」
それから会話を弾ませること、およそ二時間。輝媛の車は山奥にある里にやってきました。
「我らが大月家にとうちゃーく!」
二階建てのおもむきのある民家。広い庭には桜の木が植えられ、枝にはメジロがちょこんと止まっていました。
(……まさかわたしが、輝媛先生と話し込んでしまったなんて)
彩葉は夢見の心地にいました。
「さあ、降りるよー」
「――降りる、とは」
ぼんやりとした彩葉の前で、輝媛が助手席のドアを開けると、花の香りがふんわりと広がりました。
(近い!)
彩葉はカチコチに固まってしまいました。
「彩葉ちゃん、お手をどうぞ」
ドアの向こうの優しい声。差し出された大きな手に、彩葉は自分の小さな手を重ねます。
「僕は輝媛先生の助手の、雨月克地です。よろしくね」
割烹着姿のべっぴんさんは、穏やかにほほ笑みました。
(きれいな人だ)
「あら、克地ちゃん。割烹着なんてよー着んじゃん」
珍しい姿の克地に、輝媛は不思議そうに言いました。
「彩葉ちゃんを迎えるために、少しでも助手っぽくと」
「あざといね〜」
「おかえりぃ、輝媛」
とそこへ、小柄な老婆が出てきました。輝媛の祖母・タケといいます。
「わ〜、おばあちゃーん!」
輝媛は大喜びでタケの元へ飛びついて、ぎゅっと抱きしめました。
(愛情がすごいなぁ)
彩葉はそう思いました。すると克地が言いました。
「先生は超がつくほどのおばあちゃん子なんだよ。
素敵だよね『好き』って気持ちを素直に出せるって」
しみじみと言う克地の顔を、彩葉は関心を向けるように見つめました。