砂糖菓子のあなたへ
6月4日。
朝、すぐに荷物をまとめなければなかった。昨日のご飯は手につかなかった。菓子屋にも行かなかった。行ってしまえば彼女を困らせてしまうと思ったから。
_でも。
そう思った時には足はいつもと同じ方向へ向いていた。
ガラっ_。
いつもより乱暴に引き戸を引いた。まだ店は閉まっていたが関係なかった。
「、?あら、おはようございます。まだ開店してないのだけど…。」
頬に手を当て首を傾げていた。
「一平、や!…、手紙かくから、読んでや、絶対、!」
呼吸も乱れていたし、靴を履いた記憶はあるが裸足だった。
「…?大丈夫で_」
言い終わる前に私は外へ駆け出した。もう日常になったこの行動も今日で終わってしまうのだ。眉間に皺を寄せていた。堪えているものが出てしまいそうで。
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「一平。ようやるんやで。」
おっかあは私の肩を強く掴んで唱えるように言った。
「……。おっかあ、おいは_」
おっかあがさらに強く肩を握った。
「……おいも…」
目が合わせられなかった。不器用に笑った。
「お国の役に立てるんかな。」
「……なれるわ。うちん子やで。」
「……。」
おっかあの割烹着を見つめた。
「ほんなら、行ってき。」
おっかあは私を軽く突き飛ばした。けれども、決して冷たいものじゃなかった。
_でも。
あぁ_冷たくて痛い。
「そんなん…あかんやろ。」
誰にも聞こえなかった、聞いてくれなかった言葉。