無能の花嫁は余命僅かの鬼狩り当主に溺愛される
「うっ! くぅ……っ!!」

ヤケドのように熱く身体中の鬼紋に激痛が走る。立っていることもままならず、刀を手繰り寄せると畳に突き立て膝を着いた。

呼吸が浅く、苦しい。その時だった。

「──千隼様、真白でございます」

(!)

顔だけ振り返るが、激痛で声を発することができない。

「千隼様?」

「……あとに、しろ」

「あの、そのお声……どうかなさいましたか?」

「いいから下がれ!」

絞り出す様に言葉を発した俺は、痛みからついに身体から畳へと崩れ落ちた。

「千隼様っ」

倒れた音を聞き、襖が開いて真白が入ってくる。そして俺の前に膝を突くと息を呑むのがわかった。真白の双眸は俺の醜い鬼紋に向けられていた。

「……わかった、だろう……これは……毒のようなものだ、はやく出ていけ」

鬼紋は触れたものにも伝染すると言われている。
だからこそ亡き父も俺も、誰にも気付かれないようひた隠しにしてきた。屋敷に最低限の下女しかおかないのもそのせいだ。

表情をこわばらせ、小さく唇を震わせる真白に心臓が苦しくなる。

さぞかし俺が恐ろしく、気味悪いことだろう。
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