無能の花嫁は余命僅かの鬼狩り当主に溺愛される
第3章 策略と覚醒
蔵は屋敷の離れからさらに東の外れにあった。古びた南京錠に鍵を差し込み重い石の扉を開くと、掛け軸や書物があちこちに積み重なっておかれているのが見えた。
「随分と開けてなかったからほこりがすごいな」
千隼様は行灯を床に置くと、私にハンカチを差し出す。
「これで覆っておくといい」
「千隼様は?」
「戦場を駆け回ってるんだ。俺はなんともない」
お身体のためにも千隼様にハンカチを使って頂きたかったが、断られるのが目に見えた私は素直にハンカチを受け取り口元を覆った。
私たちは明かりを頼りに初代当主の日記帳を探し始める。
「俺はこっちを探すから、真白は手前の方を頼む」
「はい」
入り口からほど近い場所に三つほど書物の山があり、私は一冊づつ丁寧に確認していく。
「多分だが、日記帳の表紙には我が神堂家の家紋である、桜が描かれているはずだ」
「確か、桜に衣のような紋でしたよね?」
ここに婚儀の際、居間に額に入れて飾られていたのを見たことを思い出す。
「ああ。あれは桜天女をモチーフにしてるんだ」
「桜天女?」
「ん、ちょうどいいのがあるな」