無能の花嫁は余命僅かの鬼狩り当主に溺愛される
エピローグ〜唯一無二の存在〜
私は寝室で目を閉じて千隼様の胸に両手を当てたまま、全神経を集中させる。小さな熱が集まってきてそれが瘴気とぶつかると消滅する不思議な感覚があった。
(今のが……浄化?)
「……あの、千隼様いかがでしょう?」
「ああ。瘴気が浄化された、ありがとう」
私は自分の両手を繁々と見つめる。今までと変わったところはないが、祈りを捧げるようにこの手に神経を集中させると触れているものを浄化したり、癒したりすることができるようだ。
「ナユタマルが言っていたことは本当みたいだな」
「ええ」
マルはあのあと色々なことを教えてくれた。
自分は鬼童子に長らく山に封印されていたが、鬼童子の復活が近いことから、自分にかけられていた封印が解くことができたそうだ。
そして長い封印で弱った身体を休めようと神堂家にやってきたとき私に出会った。私の食事を食べたり、私がマルを撫でたことでマルは徐々に元の姿や言葉を取り戻すことができたそうだ。
ほかにも桜天女は実在したこと、神堂家の当主が災いに見舞われた代に転生をし、その度に妻として支え助けになってきたことも話してくれた。
桜天女の今世での姿が私であり、私には天授の力があるということを聞いた時は本当に驚いたが、天授の力は夫となる神堂当主の妻になり、始めて開花するということを聞き、納得する自分もいた。
「集中して手を当てると不思議な感覚がしますが、まだ私が桜天女の生まれ代わりだなんてとても信じられません」
「そうか? 俺は今の浄化でさらに確信したがな」
私は手のひらを握ったり開いたりを繰り返してみる。