甘すぎる溺愛は、美しい花の隣で。
それでも、野々花が前に店に来てくれた時に買ったのは赤色のバラだった。

圭太さんからプロポーズされた時の写真をスマホの待ち受けにしていることも知っている。

きっと圭太さんがプロポーズに使ってくれた赤色のバラこそ、野々花の結婚式を彩ってくれると思った。

しかし、赤色のバラを入れ過ぎることもしたくなかった。

だから昔から野々花が好きだったピンク色の花を左側に、密かに野々花から聞いていた圭太さんの好きな色である黄色の花を右側に。

そして、段々中央にかけて色を濃くしていく。そして、真ん中には真っ赤なバラを。

「やっぱり澪花さんはすごいですね。俺ではきっとここまでのものを作れなかったです」

「ふふっ、でしょ?」

「…………」

「空雅くん? どうかした?」

「いえ、澪花さんなら褒め言葉に遠慮しそうだと思っていたので、素直に受け取って貰えて少し驚いたというか……」

満足行く花を飾れたからだろうか、私はつい自慢気な表情を空雅くんに向けてしまう。


「言ったでしょ、花が大好きなの。花も、野々花のことも、大好きな私が沢山考えて作ったメインテーブル。自信を持たないと、飾った花たちに失礼だから」


きっと今しか言えない言葉。

だって、後になったら恥ずかしくて言えないと思う。

でも、事実だから。





「澪花さんって可愛いくせに、格好良くて……なんかズルい」





そんな言葉が、聞こえた気がした。

だからびっくりして顔を上げたのに、目の前の空雅くんは何も言っていないような顔で、「次はブーケですね」と準備に向かってしまう。

(き、聞き間違い……??)

動揺する私とは裏腹にテキパキと仕事を進める空雅くんに負けたくなくて、私は「聞き間違い!」と心に言い聞かせて、ブーケの準備に向かった。
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