甘すぎる溺愛は、美しい花の隣で。
どこまでを明かし、どこまでを隠して、澪花さんに結婚の提案をするか悩んでいた俺に辰郎さんはこう言った。


「私の会社の経営不振は、澪花に隠しきれないでしょう。ただ……どうか澪花の店のことは言わないであげて下さい。あの子は、あの店を一番大切にしていますから」


そして、辰郎さんは俺の友人としてこうも言った。

「空雅さんはまだ若い。私の会社のことまで心配しなくても大丈夫です。これでも、貴方より長く生きてますから」

今まで普通の同世代の友達のように話していた辰郎さんは、俺に心配をかけないようにそう笑った。

疲れ、やつれた顔で。

その時、俺の気持ちは決まったのだと思う。

どれだけ澪花さんに嫌われようと、どれだけ澪花さんに拒否されようと、俺は澪花さんの店と、辰郎さんの店を守りたかった。

嫌われても良いと思って、澪花さんに厳しく提案した……のに……。



『前も言ったけれど、言いたくないことなんて言わなくて良い。でも、忘れないで。空雅くんは優しい人だから。私はそう思っているから。だから……無理に嫌われようとしないで』



そんな言葉を言う澪花さんが……貴方が愛おしくて、愛おしくてたまらない。

どうしても貴方に触れたいと、貴方と気持ちが通じ合いたいと思ってしまう。

澪花さんは俺が辰郎さんの会社を助けるために契約結婚を提案し、そして俺にとっての利益は澪花さんの家柄だと思っている。
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