嘘から始まる恋煩い!
「姉ちゃん、それ本気で言ってる?」
心なしか、世那の目つきはどこか鋭かった。
一瞬ギラリと光ったその目は、まるで今にも草食動物を食べようとしている肉食動物みたいだ。
「う、うん………。」
でも、私はもとから本当のことしか言ってないので頷くと、どうやら世那からしてみたらその考えは大不正解ならしい。

「まずは、そのシャツ。襟のところがゆるくてデコルテ見えちゃうじゃん。しかも黒のショーパンなんて、すごい短い。足冷えちゃうし、そんな格好で男の先輩と会うとかマジで気が気じゃない。」

怒涛の勢いで発せられる世那の言葉に私は唖然としつつ、はあ、と頷いた。
なんか、彼女の服装に文句をつける彼氏みたいだなぁ………。
もしかして世那って、独占欲が強いタイプなのかな?
彼女になる人、少し大変そう………その代わり、私が甘やかそうっ。
私が密かに世那の将来の彼女に同情していると、世那の「ムッと度」が上昇した。

「ねぇ、ちゃんと聞いてる?おれは姉ちゃんの身を心配しているんだけど。なんか失礼なこと考えてない?」
…………、私の思考って筒抜け?もしかして私わかりやすい?
「ウ、ウウン。ゼンゼンソンナコトナイヨー。」
明らかに肯定を意味するだろうに、私はついついカタコトで返事をした。

「…………海里センパイってヤツに八つ当たりしよ。」
世那が黒い笑みでそう言っていた声は、私の耳には届かなかった。
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