悪名高い天才外科医と一夜の艶事で愛を孕んだら──想定外の溺甘愛が待っていました
「取材らしい取材はまだなんだけど、大変って?」
「いやさ、その病院の取材、前は私が担当してたんだよね、言ってなかったけど、実は」
「えっ、そうなの?」
一度誰かが着手していたとは知らなかった。でも、手放したということはなにかあったというわけで……?
「そうなの。でさ、取材に行ったわけよ。でも、どうしても無理だって思って降ろしてもらったの」
「嘘、千寿が、なんで……」
千寿は取材対象が手強そうなものも担当して、しっかりと結果を出しているのを知っている。私と違ってもともと週刊誌の編集部での記者を志望し、大同社に入社したくらいだ。
「取り合ってもらえないのはもちろんだったし、あの水瀬って医者、なんか怖くて」
「怖い? なんかされたの?」
「脅されたよ。手を引かないと、記者生命絶つことになるぞって」
水瀬先生のあの切れ長の目で鋭く睨まれ、そんな脅し文句を言われたら間違いなく震え上がる。
千寿がそんな風にして取材を降りたなんて知らなかった。
「なんかさ、大病院の御曹司みたいだし、変な裏の組織に依頼でもして抹消させられたらとか、いろいろ妄想だよ」
そんなこと言った千寿は笑い「東京湾にでも沈められたらってね」なんて言う。