悪名高い天才外科医と一夜の艶事で愛を孕んだら──想定外の溺甘愛が待っていました
2、手強い悪評外科医
兄が入院をしてちょうど一週間が過ぎた。
入院後から毎日、水瀬世田谷総合病院には足を運んでいる。
取材という名目で外出扱いにしてお見舞いに訪れ、病院内での情報収集を着実に行っている。
「美優、お前仕事はちゃんと行ってるのか? 毎日兄ちゃんの見舞いしてる場合じゃないだろ? 出版社勤務ってそんなに暇なのか?」
ただ、兄はこうして私が毎日時間問わず病院を訪問していることに多少の疑問を持っているようだ。
なにも事情を知らない兄からすれば、確かにいったい仕事はどうなってるんだ?と思うかもしれない。
「ちゃんと行ってるから大丈夫だよ。うちの部署は、手持ちの仕事によってみんな取材で出張とかも多いし、自由に働くスタイルだから。在宅なんかも普通だし」
「ふ~ん、そういうものか。現場に立ってる建築関係の俺とはまったく働き方が違うからわからねぇよ」
「まぁ、不規則な感じはあるけどね」
結局、兄を含めた家族には水瀬拓海の話はしていない。
兄もあと一、二週間すれば退院するし、余計な心配をさせないのが先決だと判断した。
しかし、秘密をひとりで抱え込むような形になっている反面、過去起こったとされるようなことがないか目を光らせている部分は少なからずある。